55歳早期退職|いくらあれば辞められる?必要資金と計画的な手順について解説
「早期リタイア」という言葉が一般的になりつつある現在、定年退職が現実的になる50代後半で早期リタイアに関心を持つ方は少なくありません。
早く会社を辞めて自由な生活を夢見ている方も多いのではないでしょうか。
早期退職をする場合、一体いくらあれば安心して過ごせるのか、本記事では必要資金と早期退職をするための手順を解説します。
早期退職を検討している方は、夢を現実にするためにぜひ本記事を参考にしてください。
早期退職(アーリーリタイア)とは?
早期退職とは、一般的に定年退職する60〜65歳よりも前に自分の意思で退職することです。
アーリーリタイアや早期リタイアとも呼ばれ、主に定年が近づいている50代後半に早期退職する人が増えています。
早期退職をする目的は、趣味に時間を費やしたい、移住して穏やかな生活をしたいなど、人によってさまざまです。
55歳での早期退職はいくらあれば可能か?
早期リタイアをしても、生活費や諸費用は発生します。55歳で早期リタイアをする場合、いくらの資金があれば生活できるのか、日本人の平均寿命を「90歳」と仮定し、端数は切り捨てて計算します。
単身世帯 | 夫婦二人世帯 | |
①平均支出額/月 | 14万円 | 25万円 |
②55~65歳までの生活費 | 14万円×12ヶ月×10年=1,680万円 | 25万円×12ヶ月×10年=3,000万円 |
③平均年金受給額/月 | 12万円 | 21万円 |
④65~90歳までの生活費 | (14万円-12万円(年金)×12ヶ月)×25年=600万円 | (25万円-21万(年金)×12ヶ月)×25年=1,200万円 |
②+④合計 | 1,680万円+600万円=2,280万円 | 3,000万円+1,200万円=4,200万円 |
※「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」(総務省統計局)を参照
一般的に年金だけでは生活ができないため、預金を切り崩す必要があります。生活費の他にもお金がかかることを考えると、早期リタイアをするまでに十分な資金を用意しておくと安心です。
早期リタイアのメリットとデメリット
早期リタイアにはメリットがありますが、デメリットも存在します。「こんなはずじゃなかった」とならないためにも、メリット・デメリットをよく考えておくのがベストです。
メリット
早期リタイアをするメリットは、主に以下の3つです。
- 自由な時間が増える
- 仕事のストレスから解放される
- 新しいチャレンジがしやすくなる
自由な時間が増える
早期リタイアのメリット1つめは、自由な時間が増えることです。早期リタイアをしたら、1日を自分の思うままに過ごせます。
趣味に没頭したり旅行に行ったり、家族との時間を増やしたりと、好きなように時間を使えるのは大きなメリットです。
仕事のストレスから解放される
早期リタイアをすれば、仕事のストレスから解放されます。日々の仕事のプレッシャーや職場の人間関係など、さまざまなストレスを抱えている人は多いでしょう。
早期リタイアをすれば、職場のしがらみから解放され、ストレスフリーな生活を送れます。
新しくチャレンジしやすくなる
新しくチャレンジしやすい環境になるのも、早期リタイアのメリットです。
早期リタイアで心身に余裕ができると、習い事を始めたりカフェをオープンしたりと、新しくチャレンジしやすくなります。
デメリット
早期リタイアによって自由が得られる一方、以下のデメリットもあります。
- 社会的信用が低下する
- 精神的不安に陥る可能性がある
- 資金不足への不安
- 福利厚生を受けられなくなる
社会的信用が低下する
早期リタイア後は、いわゆる「無職」です。肩書が無職だと、次第に社会的信用が低下していく恐れがあります。
社会的信用の低下により、ローン審査や賃貸契約の審査を通過しにくくなる可能性があるでしょう。
再就職を希望しても就活に苦労したり、年齢によっては職種の幅が狭くなったりするケースもあります。
精神的不安に陥る可能性がある
早期リタイアをすると、社会から取り残されたように感じ、精神的不安に陥る場合があります。
リタイア直後は自由な時間を楽しめていても次第にすることが無くなり、生きがいを感じられず、虚無感に陥り社会的に孤独になるケースもあります。
資金不足への不安
早期リタイアをする上での大きなデメリットは、資金面です。会社員であれば厚生年金と国民年金を受け取れますが、早期リタイアすると国民年金しか受け取れません。
定年退職した場合と比べて受給額が減少するため、貯金を崩す必要があります。
早期リタイア後は、安定的な収入が無くなることを考え、予期せぬ出費が発生する可能性を考えた資金を確保しておくべきです。
福利厚生を受けられなくなる
会社の福利厚生を受けられなくなるのも、早期リタイアをするデメリットです。
健康保険や介護保険、住宅手当、健康診断費用の補助など、会社から受けていた福利厚生を受けられなくなります。医療費は、特に自己負担額が大きくなるので注意が必要です。
アーリーリタイアの手順
アーリーリタイアを実現するためには、下記のような手順が必要です。
- アーリーリタイア後の生活を具体的にイメージする
- 必要資金を計算する
- 資金調達、資金運用を開始する
1、リタイア後の生活を具体的にイメージする
アーリーリタイアを実現させるためには、リタイア後の生活について細かくイメージをしておく必要があります。
寿命を90歳までと仮定し、毎日の過ごし方だけでなく車の買い替えや子供の成長、外食や旅行の回数などを具体的にイメージすることが大切です。
家族がいる場合には、家族の生活も含めて詳細にシミュレーションする必要があります。
2、必要資金を計算する
リタイア後の生活イメージが具体的にできたら、必要資金を計算します。
毎月生活費や医療費、趣味にいくら使っているのか、家族がいる場合は子供の学費や養育費なども含めて計算しておきましょう。
毎月の使用金額が分かれば、リタイア後の生活に必要な資金を計算できます。
一人で考えるのが難しい場合には、ファイナンシャルプランナーに相談するのがおすすめです。
3,資金調達、資金運用を開始する
アーリーリタイア後に必要な資金が分かったら、資金を調達します。計算したリタイア後の必要資金に達していない場合、資金を調達するしかありません。
給与以外で資産を増やすためには、節税投資制度(NISAやiDeCoなど)や株式投資、不動産活用などの選択肢があります。
さまざまな制度を利用しながら資産を増やせば、理想とするリタイア後の生活に近づけます。
アーリーリタイアを成功させるためのポイント
アーリーリタイアを成功させるためのポイントを3つ紹介します。
- 貯金を含めた早めの資金調達
- 定期的な収支の見直し
- 孤独にならない趣味や生きがいを見つける
アーリーリタイアを成功させるためには、デメリットで紹介した不安要素を減らすのがポイントです。
資金が無くては生活できないため、資金を十分に確保できるよう、早い時期から資金調達をして資産を増やしつつ、定期的に収支を見直すのが効果的です。
長く続けられる趣味や生きがいを見つけておくと、孤独を感じたり虚無感に陥ったりする可能性が少なくなり、リタイア後の生活が楽しめます。
長期的な計画を立てて資金を調達し、生活の不安要素を少しでも減らしておけば、アーリーリタイアは成功に近づくでしょう。
まとめ
本記事では、下記の内容を紹介しました。
- 55歳で早期リタイアするには、約2,000~4,200万円の資金が必要
- メリットは自由な時間が増える、仕事のストレスがなくなるなどがある
- デメリットは、社会的信用が低下、精神的不安の可能性、資金不足への不安などがある
- 早期リタイアをするには、リタイア後の生活イメージをして必要資金を計算し、十分な資金調達が必要
早期リタイアをするには、資金確保が大切なポイントです。早期リタイアは、仕事のストレスから解放され自由な生活を得られる一方、社会から孤立してしまったり生活費に困ったりする可能性が考えられます。
生活スタイルや生活地域などにより必要な資金が変わるため、早期リタイアを検討している方は、計画的に資金調達をするとよいでしょう。