【最新！】飲食業界のM&Aとは？基礎から最新動向まで詳しく解説！

なぜ今飲食店はM&Aを選択するのか、その背景にはどのような事情が隠されているのかといった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では飲食店 M&Aの基礎から最新の動向までわかりやすく解説して、M&Aによって実際の飲食業界の現場で何が起きているのかを深く掘り下げていきます。

この記事を最後まで読むことで、M&Aの意義や最新のトレンドそして成功のためのポイントを把握することができます。

飲食業界の未来を予測して一歩先を行く戦略を立てるための情報が満載なので、飲食業界のM&Aの真実に迫っていきましょう。

飲食業界の現状

2022年の飲食業界はコロナからの経済再開の動きの影響で、前年旺盛だった巣ごもり需要は一旦小休止をして、店内でイートインに回帰する傾向が見られます。

こちらでは、飲食業界の現状についてポイントをまとめました。

外食産業の客足は回復傾向

2024年2月期の外食業界の大手・中堅14社の見通しでは、前年に比べて営業利益が約4倍に増加し、233億円に達するという報告がありました※。　　

※2023年4月21日の日経新聞より

しかしこれはまだ新型コロナウイルス流行前の数字には追いついていないのが現状で、回復の背景にはおもに5つの要因が考えられます。

まず多くの企業が国際問題や物流の混乱や食料の価格上昇に対応するために、価格転嫁を実施しました。

次に特に居酒屋などでは営業時間の延長が行われ、コロナウイルスの状況を受けて多くの企業がこの措置を取りました。

また不採算店舗の撤退も行われており数多くの店舗を閉店した企業もあったり、コスト削減の策として仕入れの効率化や配膳ロボットの導入などが行われました。

そして、世界中での人口増に伴い海外展開の動きも活発になっています。

インフレや物価高騰の影響で経営コストが増加

飲食業界においては物価の高騰や円安の影響で食材の仕入れ価格が上昇し、これに加えて物流コストも増加傾向にあり多くの店舗の利益を圧迫しているのが現状です。

課題に対処するために、M&Aを通じてサプライチェーンを一元化してコスト削減をしたり、大規模な事業展開を通じてスケールメリットを得る試みも見られます。

飲食業界のM&Aとは？

飲食業界におけるM&Aは飲食店の売買や統合を指す言葉として近年注目されており、飲食店の経営者が事業を譲渡する際、M&Aは非常に有効な選択肢となるでしょう。

その理由としては、買い手にとっては開店にかかる費用の節約が可能となるからです。

通常飲食店が閉店や撤退を考える際物件は居抜きでの売却が一般的ですが、これによって次の経営者は新たな設備や什器を揃える手間やコストを節約できます。

しかしM&Aの特徴はそれだけではありません。

お店のコンセプトや業種もそのまま引き継ぐことができるため、新たなブランドやコンセプトを考える時間や労力を削減することが可能となります。

このような点から、飲食業界のM&Aは売り手と買い手の双方にとって大きな利点を持っているといえるでしょう。

飲食業界におけるM&A

飲食店の店舗を譲渡するために選ばれる方法としては、おもに造作譲渡や事業譲渡、株式譲渡の3つがあります。

こちらでは飲食業界におけるM&Aの手法について、いくつかまとめました。

造作譲渡

造作譲渡とは飲食店の内装や家具、設備を次の事業者へそのまま譲る手法です。

ただし経営権は移転しません。金額の適正設定や良好な立地条件、整備された設備などがこの譲渡を成功させる要因となります。

事業譲渡

事業譲渡は特定の事業部門を中心に、もしくは全事業を他企業に移転する手法です。

全部譲渡や一部だけの譲渡の選択が可能で、非効率な赤字部門のみの売却も可能で、購入側は希望する事業部門のみを選んで取得できます。

株式譲渡

株式譲渡は特定企業の株式の一部または全部を売却し、経営権を他社に移転する方法です。

特に中小企業のM&A手法としてよく採用されており、手続きがシンプルな点が特長ですが譲渡元の負債も引き継がれる点は、十分な注意が必要です。

小規模事業者、個人事業主のスモールM&A

スモールM&Aは、売上高1億円未満を対象とした小規模事業者や個人事業主向けのM&A手法です。

飲食業界においては後継者不足やコロナ禍などの経営難が背景として存在し、少額取引が可能な点や多くの機会がある点がその特長と言えるでしょう。

飲食店におけるM&A主な評価ポイント

中小企業庁が発行する「経営者のための事業継承マニュアル」によれば、飲食店を売却する際の相場は以下の通りです。

・時価純資産 + 3年間の営業利益

例えば時価純資産300万円、3年間の営業利益が200万円の場合、売却額の相場は

300万円＋200万円＝500万円となります。

だが、売却価格はこの公式だけでは定まりません。

売上や立地、知名度、ブランド力、財務状況、店舗数や従業員数などが影響し、また将来の成長や利益率も要因となります。

正確な価格を見極めるためには、似た条件の事業者の事例参照が効果的です。

自社の特徴や状況を照らし合わせ、比較を通して適切な価格を見つけましょう。

飲食店側のM&Aメリット

飲食店をM&Aを利用して売却するメリットはいくつかあります。こちらでは、飲食店側にとってのM&Aのメリットについて以下にまとめました。

撤退金額を削減できる

飲食店経営で店を撤退する際のコストは大きな出費となります。

通常は飲食店を閉店する場合はスケルトン工事が必要ですが、M&Aを選択するとこの工事は不要になります。

撤退時の経費を大きく削減できて、店舗をそのまま引き渡すのは大きなメリットでしょう。

売却利益を得られる

飲食店のM&Aを検討する経営者にとって、利益の実現は魅力的です。

店舗の売却によって得られる資金は事業の拡大や経営者の退職資金として活用でき、長らくの経営の成果としての収益を手にするチャンスとなるでしょう。

後継者不足の解消

どの業種でも後継者の確保は大きな課題となっており、特に飲食業界では家族や従業員の中から後継者を見つけるのが難しい場合もあります。

しかしM&Aを活用すれば後継者問題を解決できて店の継続や伝統の維持が期待でき、店を続けたい悩みをM&Aで解消できるでしょう。

買い手側のM&Aメリット

飲食店をM&Aを利用して購入する場合、買い手側にもいくつかのメリットが存在します。こちらでは、買い手側にとってのM&Aのメリットについてまとめました。

経営資源の引継ぎ

M&Aを通じて飲食店の設備やブランド、顧客、従業員、評価を引き継ぐことができますし、居抜き購入とは異なりブランドや評判も得られる点が魅力です。

飲食業界ではオンラインでの評価や人材が集客に大きく影響するため、M&Aは新規開業よりも優位性を持つことが少なくありません。

店舗拡大を図れる

M&Aは飲食店の拡大において時間と労力を省けます。

新たな店舗を立ち上げるよりM&Aで既存の店舗を取得する方がスムーズで、さらに市場シェア拡大や事業の多角化、異なるジャンルの店舗取得も可能でしょう。

開業コストの削減

飲食店の好立地は成功の要因の大きなひとつです。

M&Aを選べば確立された好立地の店舗を取得できてコストを大幅に削減でき、初期投資の低減と事業成功率向上に寄与するでしょう。

飲食店M&Aにおけるリスク

飲食店M&Aをするメリットはさまざまありますが、いくつか注意しなければいけないリスクもあります。こちらでは、飲食店M&Aにおけるリスクについてまとめました。

経営方針の変更によるお客様の離脱

M&A後に飲食店のメニューやサービスが大きく変わることが時々あります。

このような変更は特に、伝統的な味やサービスを求める常連客の離脱を招きかねません。

長い歴史を持つ店舗の場合は、変化は顧客の不満や離脱を引き起こすリスクが高まるので注意が必要でしょう。

従業員とのトラブルが起こる可能性がある

飲食店のM&Aでは、既存の従業員と新しい経営陣との関係が非常にデリケートです。

新しい経営方針や業務フローへの適応が求められる中で、予期せぬ対立やコミュニケーションのトラブルが生じる可能性があるでしょう。

投資回収が出来ない可能性がある

M&Aを進める時はシナジーや経営効率の向上を目指して行われますが、意図した収益の向上や効果が得られない場合、初期投資を回収することが難しいこともあります。

そのため、十分な事前のリサーチや戦略策定が絶対的に必要となるでしょう。

まとめ

これまで、飲食業界の現状や飲食業界のM&Aの評価ポイントについて、また飲食店側・買い手側それぞれのM&Aのメリットや飲食店M&Aの注意点について解説してきました。

飲食業界のM&Aは、飲食店側・買い手側それぞれでさまざまなメリットがあり経営を安定させる上で有効な手段のひとつです。

しかし、経営方針の変更によって既存客が離れたり従業員との確執が生まれたり、投資回収ができない可能性などのあるので、専門家を入れて慎重に行うのがおすすめです。