M&Aの譲渡価格の算出方法|企業価値や相場を解説

M&A譲渡価格の算出方法

M&Aを成功させるためには、譲渡価格の算出については非常に重要です。

買い手側も売り手側も納得する譲渡価格を出すのは難しいですが、譲渡価格について、ある程度正しいものを出せないと、M&Aの成功は難しいでしょう。

そこで今回は、M&Aの上とか腹の算出方法や企業価値、相場について解説をします。わかりやすく説明をしますので、参考にしてください。

目次

M&Aの譲渡価格の相場観

M&Aの譲渡価格は様々な要素が絡んでくるため、明確な相場があるわけではありません。しかし、一般的には以下のような相場観があると言われています。

  • 売上高の0.5~1.0倍程度
  • 営業利益の5~10倍程度
  • EBITDA(税引前利益+減価償却費+のれん償却費)の5~10倍程度

これはあくまで目安であり、個々のM&Aによって大きく異なります。

特に、業種や企業の成長性、シナジー効果の大きさによって、譲渡価格は大きく変動します。

例えば、IT企業やバイオテクノロジー企業など、将来の成長が見込まれる企業の譲渡価格は、上記の相場観よりも高くなる傾向があります。

一方、業績が低迷している企業や、将来的なリスクが大きい企業の譲渡価格は、相場観よりも低くなることが少なくありません。

具体的な譲渡価格の算出について解説していきます。

M&Aの譲渡価格の相場と算出方法

M&Aの譲渡価格は、売り手と買い手が合意した金額が基本です。その価格はさまざまな要因によって影響を受けます。

一般的に、M&Aの譲渡価格は、以下のような要因によって影響を受けます。

企業価値

売り手の企業価値は、財務諸表や業績、将来性などに基づいて算出されます。買い手は、その企業価値を基準に、M&Aの譲渡価格を決定することが多いです。

業界・市場環境

M&Aが行われる業界や市場の状況も、譲渡価格に影響を与えます。たとえば、需要や供給の変化、競合他社の存在などが、M&Aの譲渡価格に影響することがあります。

規制環境

M&Aには、規制環境に関する問題が存在する場合があります。

たとえば、市場支配力や独占禁止法に関する規制、外国投資に関する規制などがあり、それらがM&Aの譲渡価格に影響することがあります。

譲渡価格の適正価格

M&Aの譲渡価格の適正価格を算出することは、非常に複雑な問題であり、一般的には買い手と売り手の間で合意されることが多いです。

しかし、M&Aの譲渡価格が適正かどうかを判断するには、以下のような方法があります。

P/E比(株価収益率比)

株価収益率比とは、企業の株価を時価総額で除したものを、企業の一株当たりの利益(EPS)で除した比率のことです。

P/E比が低い場合は、企業の株価が過小評価されている可能性があります。一般的に、同業他社のP/E比と比較することで、適正な譲渡価格を算出することができます。

DCF法(現在価値評価法)

DCF法は、将来のキャッシュフローを現在価値に換算し、それを基準に企業の評価を行う方法です。

DCF法を使って、買い手が将来のキャッシュフローを予測し、それを現在価値に換算することで、適正な譲渡価格を算出することができます。

割当価値法

割当価値法は、企業の資産、負債、キャッシュフロー、将来の成長性などを基に、企業の価値を算出する方法です。

買い手は、この方法を使って、買収対象企業の評価額を算出し、それを基準に譲渡価格を決定することができます。

以上のように、譲渡価格の適正価格を算出する方法は、さまざまなものがあります。

しかし、M&Aは複雑な問題であり、譲渡価格を決定する際には、多くの要素を考慮する必要があります。

買い手と売り手が合意できる譲渡価格が、最終的な適正価格となることが多いです。

事業譲渡と株式譲渡の違い

事業譲渡と株式譲渡は、M&A(企業合併・買収)において、異なる手法の一つです。以下にそれぞれの概要を説明します。

事業譲渡

事業譲渡とは、企業が保有する特定の事業部門や資産を、別の企業に譲渡することを指します。

譲渡されるのは、主に事業に必要な権利や契約、商品やサービスの知的財産権、在庫、設備、顧客リスト、従業員などです。

事業譲渡は、譲渡対象の事業だけを取得するため、売買契約後も譲渡元企業は存在し続けます。

譲渡元企業は、事業譲渡後に残った負債や不良債権などに対して責任を負うことがあります。

株式譲渡

株式譲渡とは、企業が保有する自社株式を、別の企業に譲渡することを指します。

譲渡されるのは、株式の所有権のみであり、企業の事業そのものは、引き続き譲渡元企業が保有し続けます。

株式譲渡は、企業全体を取得するため、売買契約後、譲渡元企業は存在しなくなります。株式譲渡によって、譲渡元企業の残りの資産や負債は、引き継ぐことになります。

以上のように、事業譲渡と株式譲渡には、異なる特徴があります。譲渡の方法を選択する際には、譲渡する企業の目的や売却する資産の種類、譲渡先企業の要件などを考慮する必要があります。

代表的な算出方法

代表的なM&Aの譲渡価格の算出方法を紹介します。

マーケットアプローチとインカムアプローチ

マーケットアプローチとインカムアプローチは、企業評価の手法の一つであり、企業価値を算出する際に使用されます。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、同業他社や類似業界の企業の市場価値を参考にして、評価対象企業の価値を算出する方法です。

市場価値を反映する指標として、企業の株価、時価総額、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などがあります。

マーケットアプローチは、市場が与える評価を参考にするため、比較的客観的な評価が可能です。

インカムアプローチ

インカムアプローチは、企業が将来的に得るであろうキャッシュフローをもとに、企業評価を行う方法です。

将来予測されるキャッシュフローを現在価値に割り引いて、企業価値を算出します。

インカムアプローチは、企業の収益性やキャッシュフローの将来性を評価することができるため、企業の成長性や収益性によって、より正確な評価が可能です。

これらの手法は、企業評価において一般的に使用される方法です。しかし、企業評価には多くの要素が関与するため、正確な評価には専門知識や経験が必要となります。

まとめ

今回は、M&Aの譲渡価格の算出方法等について紹介をしました。今回の記事のポイントは以下の通りです。

  • M&Aの譲渡価格の相場と算出方法について
  • M&Aの買収価格と企業価値の関係について、
  • M&A仲介会社の手数料について

M&Aを実行することによって買い手と売り手ともにメリットがあります。

しかしM&Aを成立させるためには、価格は非常に重要です。ぜひ今回の記事を参考にしていただき、M&Aの価格の出し方についてご理解いただければ幸いです。

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