会社の廃業、解散の違いとは?必要な手続きと費用について解説
会社経営を行っている方の中には、経営に行き詰まった際や、
事業を引き継いでくれる人が見つからなかった場合の選択肢として、
将来的な法人の廃業を検討している方もいるのではないでしょうか?
会社を廃業する場合には、様々な手続きが必要となるので、
何から手を付けたら良いのか悩んでいる方もいるでしょう。
本記事では法人の「廃業」「解散」に焦点を当て、言葉の定義やその費用、
手続きの内容について解説しています。
万が一廃業を行うことになった場合に、必要な準備について経営初心者の方でも
理解できる内容で記載しましたので、是非最後までご覧ください。
この記事を読んでわかること
- 会社の「廃業」「解散」の意味とは?
- 廃業と解散手続きについて
- 廃業と解散にかかる費用
廃業とは?
廃業とは、理由・原因を問わず現在行っている事業を廃止することを指す言葉です。
法人の廃業には様々な手続きが発生するため、廃業を検討している方は
計画的に準備を進めていくことが必要となります。
解散とは?
解散とは、会社の事業を廃止・消滅させるための手続きを指す言葉です。
会社の解散を行うには、株主総会で特別決議を実施するか、書面決議が必要となります。
解散の理由は会社法第471条の中で定められているので、
以下の6つから該当する物を選択しましょう。
(解散の事由)
第四百七十一条 株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
会社法第471条(e-Gov)
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 株主総会の決議
四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判
廃業・解散に関する手続きについて
法人が廃業するためには、社内外に向けた解散の手続きや清算処理への
対応が必要となります。
社内外への通知や手続きの期間を考慮して、廃業・解散を行う場合は
2、3か月前から準備を進めるようにしましょう。
廃業、解散に関わる代表的な手続きは以下の7つとなります。
- 営業終了日の決定
- 社内外への廃業のお知らせの通知
- 株主総会での決議
- 解散、清算人の登記
- 廃業、解散の届出
- 官報への解散公告
- 清算
営業終了日の決定
廃業を決めたら、はじめにいつまで営業を行うのかを決定します。
従業員がいる場合、解雇通告を少なくとも30日以上前に行う必要があるため、
営業終了日は2か月から3か月先に設定することをおすすめします。
社内外への廃業のお知らせの通知
営業終了日が決まったら従業員や取引先をはじめとする関係会社への通知を行う
必要があります。
「廃業のお知らせ」等の形で書面にして通達を行う方法が一般的です。
営業終了日の決定で触れたように、従業員に向けての解雇通告は労働基準法により
「廃業予定日の30日前までに行う」ことが義務付けられています。
従業員への解雇通告を行わずに廃業すると「解雇予告手当」の支払いが発生して
しまうため注意しましょう。
株主総会での決議
廃業が決定したら株主総会での決議を実施します。
株式会社の場合は特別決議による審議により、解散の決定を行います。
特別決議は、議決権の過半数が出席する株主総会で3分の2以上の賛成が必要となります。
清算人の登記
株主総会では解散の決議に加え、清算人を決める必要があります。
清算人は会社の清算手続きにおいて不備があった場合に債権者に対しての責任を負う
役割を持ちます。
清算人が決定したら、2週間以内に法務局で廃業に向けた登記を行いましょう。
廃業、解散の届出
登記が完了した後は、税務署や役所等への届出を行います。
届出が必要となる主な関連機関は以下の通りです。
※会社により、手続きが必要な機関が異なりますので、担当の司法書士に確認を
取ることをおすすめします。
・税務署
・法務局
・市区町村役場
・労働局または労働基準監督署(従業員の解雇が発生する場合)
・社会保険事務所
官報への解散公告
会社法499条により、株式会社が廃業する際には官報へ解散公告を行う義務が発生します。
掲載期間は2か月以上と定められており、一定期間内に債権の内容を届け出るように
依頼を掲載します。
公告には、一定期間を過ぎると債権者がその権利を行使できないという点も必ず記載しておきましょう。
清算
清算責任者は、会社資産の売却や債権の回収を行った後、
資産の売却と債権の回収で得た資金で、債務を弁済します。
債務が完済出来る場合「通常清算」、
債務の完済が不可能な場合は裁判所管轄の下、
「特別清算」という方法で清算を行う運びとなります。
廃業、解散にかかる費用について
廃業と解散の手続きの過程では、登記費用などをはじめ総額30万円~40万円程度の費用が
発生します。
主な費用の概算は以下の通りです
- 解散登記費用及び清算人登記費用 39,000円
- 官報公告掲載費用 30,000円
- 税理士、司法書士等への報酬 200,000~400,000円
解散登記費用
会社の解散が決まった際は2週間以内に管轄法務局に解散の登記と清算人登記を行います。
その際の登記費用として法務局に納める登録免許税で39,000円を納付します。
官報公告掲載費用
解散手続きの中で記載した通り、会社が解散する際には官報への公告が法律で
定められており、掲載費用が30,000円ほど必要です。
専門家への報酬
解散登記や、精算処理を司法書士や税理士に依頼する場合、報酬を支払います。
司法書士に登記申請を依頼する場合、100,000円前後が相場です。
清算に関する確定申告等の業務を税理士に依頼する場合、150,000~300,000円程度の
費用を準備する必要があります。
各税理士事務所や業務量によって費用は変動するため、依頼を行う際には事前に
費用の確認を行いましょう。
まとめ
会社の廃業、解散には一定の準備期間と各種手続き、費用の支払いが必要です。
現在廃業を検討している方は従業員が次の就職先を探すための期間も鑑みて
廃業までの期間を長めに設定しましょう。