事業売却で儲かる方法と注意点について解説
事業売却を検討する際、経営者が最も関心を持つのは「本当に儲かるのか?」という点ではないでしょうか。
適切な戦略の策定と準備を行うことで、事業売却は大きな利益をもたらす可能性があります。
しかし、事業売却をしたからと言って必ず儲かるというわけではありません。
適切な戦略立案と準備をしないままで事業売却を行うと思わぬ損失を被る可能性があります。
本記事では、事業価値の評価方法や適切な売却先の選定、法的手続きや税務対策など、事業売却を成功させるための具体的な方法を解説します。
また、儲からない事業売却のリスクや注意点についても触れ、失敗を避けるためのポイントを提供します。
事業売却を成功に導き、企業の未来を切り開くための重要な情報を網羅しているのでぜひ参考にしてください。
事業売却は儲かるのか?
事業売却は、適切な戦略と準備をすれば大きな利益をもたらす可能性が高いです。
事業売却は、不採算部門の整理や経営資源の集中により、企業全体の効率化と収益性向上が期待できます。
さらに、売却によって得られる資金は、新たな投資や経営改善に役立ちます。これにより、会社の成長を加速させることが可能です。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
- 経営資源の集中:不採算部門の売却により、主力事業に経営資源を集中させることができます。
- 資金調達:事業売却によって得た資金は、新たな投資や経営改善に活用できます。
- 後継者問題の解決:後継者がいない場合、事業売却は会社の存続と従業員の雇用を維持する有効な手段です。
一方で、事業売却にはデメリットも存在します。
- 競業避止義務:売却後、一定期間同一地域で同じ事業を行うことができなくなります。
- 手続きの複雑さ:事業売却には多くの手続きが伴い、専門家の助けを借りる必要があります。
- 従業員への影響:売却後、従業員の待遇や職場環境が変わる可能性があり、モチベーションや離職率に影響を及ぼすことがあります。
事業売却は、適切な戦略と準備をすれば大きな利益をもたらす可能性が高いです。
事業売却は、企業にとって重要な戦略的選択肢です。
成功させるためには、事前の準備や適切な売却先の選定が欠かせません。適切な戦略と専門家の助けを借りて、事業売却を成功に導きましょう。
事業売却の相場はどれくらい?
事業売却の相場は、一概に定めることは難しく、事業の規模、業種、収益性、資産価値、市場動向など多くの要因によって変動します。一般的には、事業の純利益や売上高を基にした倍率(マルチプル)を用いて評価されることが多いです。例えば、純利益の数倍から十数倍、売上高の0.5倍から数倍といった基準が参考にされます。しかし、これらはあくまで目安であり、正確な評価には専門家の助言を得ることが重要です。
上場株式の場合
上場企業の場合、株式市場での評価があるため、事業価値の算定が比較的容易です。株価や時価総額を基に事業の評価を行い、売却価格を決定します。また、上場企業は情報開示が義務付けられているため、買い手にとっても透明性が高く信頼性があります。ただし、市場の変動により株価が上下するため、売却のタイミングが重要となります。
市場取引がない事業売却
非上場企業や中小企業の場合、市場での取引がないため事業価値の評価が難しくなります。この場合、財務諸表や将来のキャッシュフロー、資産の時価評価などを基に評価を行います。適切な評価を行うためには、以下のポイントが重要です。
財務状況の整理:最新の財務データを整備し、事業の収益性を明確にします。
専門家の活用:公認会計士や税理士、M&Aアドバイザーの助言を受けます。
買い手の探索:信頼できる買い手を見つけるために、ネットワークや仲介業者を活用します。
事業売却のメリット
- 一時的な資金が得られる
- 組織を再編しやすくなる
- 売却後も会社と従業員を維持できる
- 事業譲渡の範囲が指定できる
- リスクがなくなる
- 節税効果が見込める
売却側のメリット
一時的な資金が得られる
事業売却を行うことで、売却側は一時的に多額の資金を得ることができます。この資金は、新しい事業への投資や借入金の返済などに活用できるでしょう。また、事業売却により得られた資金を株主に還元することで、株主価値を高めることも可能です。
組織を再編することができる
事業売却により、売却側は組織のスリム化や事業の選択と集中を図ることができます。非中核事業を売却することで、経営資源を中核事業に集中させ、競争力を高めることが可能になります。また、事業売却を通じて、非効率な組織構造を改善し、意思決定の迅速化を図ることもできます。
売却後も会社や従業員が残せる
事業売却の場合、売却対象の事業に関連する資産、負債、従業員などを買収側に引き継ぐことができます。そのため、売却後も会社や従業員を維持することができるのです。これにより、従業員の雇用を確保しつつ、事業の継続性を担保することが可能となります。
買収側のメリット
事業譲渡の範囲が指定できる
買収側は、自社に必要な事業や資産のみを選択して譲渡を受けることができます。これにより、不要な資産や負債を引き継ぐ必要がなくなります。買収側は、自社の事業戦略に合致した事業のみを取得することで、シナジー効果を最大化することができます。
リスクがなくなる
事業売却の場合、買収側は売却対象の事業に関連する債務やリスクを引き継ぐ必要がありません。これにより、買収に伴うリスクを最小限に抑えることができます。買収側は、譲受対象の事業に関連する債務や偶発債務について詳細なデューデリジェンスを行うことで、リスクを適切に評価し、管理することができます。
節税効果が見込める
事業売却による譲渡価格と帳簿価格の差額は、買収側にとって損金として扱われます。そのため、買収側は節税効果を享受することができるのです。
事業売却のデメリット
- 売却手続きのプロセスに時間がかかる
- 事業別財務諸表を作成する必要がある
- 原則20年間の事業制限がかかる
- 許認可取得が必要な場合がある
- 消費税が発生する
- 改めて契約を結び直す必要がある
売却側のデメリット
売却手続きのプロセスに時間がかかる
事業売却を行うためには、譲渡対象の事業を明確に区分する必要があります。これには、事業別の財務諸表の作成や、従業員や取引先との契約変更などの手続きが必要となり、時間と労力を要します。
事業別財務諸表を作成する必要がある
事業売却を行うには、譲渡対象の事業に関する財務諸表を作成する必要があります。これには、事業別の資産、負債、収益、費用などを明確に区分する必要があり、会計処理が複雑になります。
原則20年間の事業制限がかかる
事業売却を行った場合、売却側は原則として20年間、同種の事業を行うことが制限されます。これにより、売却側は事業の選択肢が限定されることになります。
買収側のデメリット
許認可取得が必要な場合がある
買収側が事業売却により譲り受けた事業を運営するためには、業種によって許認可の取得が必要となる場合があります。これには、時間と費用がかかる可能性があります。
消費税が発生する
事業売却による資産の譲渡は、消費税の課税対象となります。そのため、買収側は譲渡価格に消費税を上乗せして支払う必要があります。
改めて契約を結び直す必要がある
事業売却により従業員や取引先を引き継ぐ場合、買収側は改めて雇用契約や取引契約を結ぶ必要があります。よって、時間と労力を要する可能性があります。
事業売却で儲かる方法
事業売却で儲かるためには、計画的な準備と適切な戦略が不可欠です。
適切な事業価値の評価
事業売却を成功させるためには、まず事業価値を正確に評価することが重要です。
事業価値の評価には、以下の3つのアプローチが一般的に用いられます。
- コストアプローチ:純資産を基に評価する方法で、貸借対照表上の資産と負債を時価で評価します。
- インカムアプローチ:将来の収益性を基に評価する方法で、DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)などが代表的です。
- マーケットアプローチ:類似企業の市場価格や取引価格を参考に評価する方法です。
これらのアプローチを組み合わせて事業価値を評価し、売却価格の基準を明確にすることが大切です。
売却先の選定と交渉
適切な売却先を選定することも、事業売却で儲かるための重要な要素です。売却先の選定には以下のポイントが含まれます。
- 信頼できる買手の選定:買い手の信用力や経営能力を十分に調査します。
- 交渉力の強化:M&A仲介業者や弁護士を活用して、交渉を有利に進めます。
法的手続きと契約書の作成
事業売却には多くの法的手続きが伴います。これを正確に行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。重要なポイントは以下の通りです。
- 契約書の作成:事業譲渡契約書には、譲渡価格、譲渡対象の詳細、従業員の処遇などを明確に記載します。
- 法的手続きの遵守:必要な許認可の取得や各種届出を確実に行います。
税務対策と資金計画
税務面でも注意が必要です。事業売却によって得られる利益には税金がかかるため、適切な税務対策を講じることが重要です。
また、売却後の資金計画も立てておくことで、売却益を効果的に活用できます。
- 税務対策:税務専門家の助言を受け、法人税や消費税の適切な処理を行います。
- 資金計画:売却後の資金をどのように運用するか、具体的な計画を立てます。
専門家の活用
事業売却のプロセスは複雑であり、専門家の助けが不可欠です。以下の専門家を活用しましょう。
- M&A仲介業者:売却先の選定や交渉をサポートします。
- 弁護士:契約書の作成や法的手続きをサポートします。
- 税理士・会計士:税務対策や財務評価をサポートします。
事業売却で儲かるためには、計画的な準備と適切な戦略が不可欠です。
これらの方法を実践することで、事業売却の成功確率を高め、大きな利益を得ることができます。事前の準備と専門家のサポートを得て、事業売却を成功に導きましょう。
儲からない事業売却に注意
事業売却は行えば必ず儲かるというわけではありません。そのため、前もって事業売却が儲からなくなる要因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
事業売却が期待通りの利益をもたらさない場合、以下の要因が考えられます。
売却前の準備不足
売却前の準備が不十分だと、事業価値を正確に評価できず、適正価格での売却が難しくなります。準備不足によるリスクを回避するために、以下の対策を講じましょう。
- 財務状況の整備:最新の財務諸表を整え、事業の収益性や資産状況を明確にします。
- 法務・税務の整理:法的問題や税務リスクを事前に解消します。
- デューデリジェンスの実施:専門家の助けを借りて、事前調査を徹底的に行います。
買い手の選定ミス
適切な買い手を選定できないと、売却後のトラブルや価格の下落が発生することがあります。信頼できる買い手を見つけるためには、以下のポイントを押さえましょう。
- 信用調査の実施:買い手の財務状況や経営実績を調査し、信頼性を確認します。
- 複数の買い手候補の比較:複数の候補者と交渉し、最適な買い手を選びます。
契約書の不備
契約書に不備があると、売却後のトラブルや訴訟のリスクが高まります。以下の対策を講じて、契約書の内容を確実にしましょう。
- 専門家の活用:弁護士の助けを借りて、契約書を詳細に作成します。
- 重要事項の明記:譲渡対象、価格、支払条件、従業員の処遇などの重要事項を明確に記載します。
市場のタイミング
市場の動向を見誤ると、適正価格での売却が難しくなります。市場タイミングを見極めるためには、以下の点に注意しましょう。
- 市場動向の分析:業界のトレンドや経済状況を常に把握します。
- タイミングの調整:市場が好調な時期を見計らって売却を行います。
情報漏洩のリスク
事業売却のプロセスで情報が漏洩すると、企業の信用が損なわれたり、競争優位性が低下するリスクがあります。情報管理を徹底するためには、以下の対策が有効です。
- 秘密保持契約(NDA)の締結:売却交渉の初期段階でNDAを締結し、情報漏洩を防ぎます。
- 情報管理の徹底:機密情報へのアクセスを限定し、情報の管理を徹底します。
事業売却が儲からない原因を理解していれば、適切な対策を講じることができるようになります。
上記のポイントを押さえることで、事業売却の成功確率を高め、期待通りの利益を得ることができます。事前の準備と適切な対策を講じて、儲からない事業売却を避けましょう。
まとめ
この記事では、事業売却のメリットと成功するための方法、そして注意すべきポイントについて解説しました。以下に、主要なポイントをまとめます。
- 事業売却は、適切な戦略と準備があれば大きな利益をもたらす可能性があります。
- 事業価値の正確な評価が重要です。コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチの各手法を活用しましょう。
- 信頼できる買い手を選定し、契約書を詳細に作成することで、売却後のトラブルを防ぎます。
- 市場のタイミングを見極めることが、適正価格での売却を成功させる鍵です。
- 情報漏洩のリスクを防ぐために、秘密保持契約(NDA)の締結と情報管理の徹底が重要です。
事業売却は、経営者にとって大きな決断であり、企業の将来を左右する重要なプロセスです。適切な準備と戦略、そして専門家の助けを得ることで、事業売却を成功に導くことができます。この記事が、皆さんの事業売却の計画に役立ち、成功への道を切り開く一助となれば幸いです。