事業承継で保険を活用するメリットやデメリット、注意点を解説!
事業承継の際は数々の不安や疑問が浮かんでくる方は多いのではないでしょうか。中でも事業承継と保険の活用は注目のトピックのひとつです。
保険の活用は事業承継を円滑に進める強力なサポートとなり得るのですが、実際のメリットやデメリット、そして注意すべき点はどんなものがあるのでしょうか。
この記事ではそんな疑問をクリアにするため、事業承継の際の保険の役割や活用方法を分かりやすく解説します。
保険の知識をしっかりと身につけることで、安心して次のステップへと進むことができるのです。最適な保険活用でスムーズな事業承継を実現しましょう。
事業承継と保険の関係
事業承継をするには多くの費用が必要となりますが、保険を効果的に利用することで円滑に進められて事前に対策を講じることができます。
こちらでは、事業承継による経済的負担や保険の活用による対策についてまとめました。
事業承継による経済的負担
事業承継は後継者への事業の移行を意味しますが、経済的な観点から見るとさまざまな負担が伴います。
例えば後継者が株式を取得する場面では、取得のための対価を準備する必要が出てきます。
そして相続や贈与によって事業を承継する際にも、評価額に基づいた相続税や贈与税が求められるでしょう。
これに加えて現経営者の退職金の準備も欠かせません。このような複数の経済的要因が後継者の負担を増大させる可能性があり、事業承継のプロセスが難航することも予想されます。
保険の活用による対策
事業承継には多くの資金が要求されるものですが、適切に生命保険を利用することでその重荷を軽減することが期待できます。
経営者が逝去した際に保険金の受取人として会社や後継者を設定しておくと、その資金を事業承継に適切に使うことができるのです。
このような資金の取り扱いにより、事業承継を円滑に進めることが可能となるでしょう。
また生命保険の適切な活用によって、自社株の評価額を下げることも可能となり後継者の負担の軽減に繋がるでしょう。
事業承継に活用できる保険とは?
法人経営には突然の売上減少や資金不足などさまざまなリスクがあり、このようなリスクに備えて将来に向けた事業を継続するための有効な手段のひとつが法人保険です。
こちらでは、法人保険とは何なのかやその種類についてポイントを解説します。
法人が契約者となる保険
法人保険は企業が契約主体であり経営者や役員が被保険者となるもので、この契約により法人はさまざまなリスクに備えることができます。
突然の事態による経営者の不在時、業務の安定を図るための資金を確保できますし、経営者や役員の事故や死亡に備えて、家族の生活費や相続税対策として利用することもできます。
退職時に解約することで得られる返戻金は、退職金として役立てることができる点も魅力的で、事業承継の際の資金捻出も保険の適切な活用により円滑に進められるでしょう。
法人保険の種類
終身保険:
生涯を通じて保障を得られる保険で、勇退の時期が未定である場合や万一のリスクをカバーしながら退職金を確保したい時に適しています。
定期保険:
限られた期間内での保障を目的とした保険で、特定の時期に必要な資金を計画的に確保したい時や低コストでのリスク対策を求める場合に有効です。
逓増定期保険:
保障額が時とともに増加する特性を持つ定期保険で、万一の際や退職時の資金確保を目指す場合に適しています。
養老保険:
保険期間中の事故や死亡時または保険満了時に支払われる保険で、さまざまなシチュエーションに柔軟に対応できる特徴があります。
医療・がん・介護・就業不能保険:
病気や事故による治療費や介護費用、収入の減少をカバーする目的で契約される保険で、死亡保障だけでなく生きている間に起こり得るリスクを補償する場合に適しています。
これらの法人保険を適切に組み合わせることで、事業の継続性を高めるとともに経営者や従業員の安心を保つことができるでしょう。
事業承継で保険を活用するメリット
事業承継が抱える問題を解決するためには保険の活用が効果的です。こちらでは事業承継でのさまざまなメリットについて、そのポイントを解説します。
運転資金に充てられる
事業承継の際は生命保険からの保険金は大変役立つものです。
突如として経営者が不在となった場合でも、保険金を運転資金や未払いの債務の返済に利用することができます。
その結果事業の持続とスムーズな継承が可能となって経営の安定をもたらすでしょう。
納税資金などの準備
事業承継には多額の税金、特に相続税や贈与税が関わってきます。
生命保険からの資金をこれらの税金支払いに活用することで、無駄な資産の売却を避けつつ税金対策を効果的に行うことができます。
この措置は、経営資源を維持しながらの円滑な承継をサポートするでしょう。
自社株の評価額を引き下げ
企業が生命保険料を支払うことによって資産の減少が生じ、その結果として自社の株価評価額を下げる効果を持ちます。
後継者が企業の株を取得する際のコストが抑えられることで、継承の際の経済的なストレスを軽減する助けとなるでしょう。
後継者に資金を残せる
事業承継は計画的に行うものであり、生命保険を上手く利用することで経営者が急逝した場合でも後継者に十分な資金を提供することができます。
これにより後継者は初期の経営でも資金的な困難に直面せず、事業を継続しやすくなるでしょう。
事業承継で保険を活用するデメリット
事業承継で保険を活用するメリットはさまざまありますが、同時に気を付けなければいけない点もいくつかあります。
こちらでは事業承継でのデメリットについて、そのいくつかをまとめました。
保険料が必要
生命保険に加入する際はその契約に伴い、定期的に保険料を支払う必要があり、この継続的な出費はビジネスのキャッシュフローや利益に間接的な影響を与えるかもしれません。
あまりにも高額な保険料は会社の収益を圧迫する危険があり、反対に低すぎると事業承継の実際の対策として十分に機能しない可能性も考えられます。
従ってどのような保険料を選ぶかは、事業承継の戦略的な選択として非常に重要です。
解約で損失が出る可能性がある
生命保険契約を途中で解約する場合は返戻金の額に注意が必要で、加入期間や解約のタイミングによっては最初に想定していた金額よりも返戻金が少なくなる場合があります。
特に終身保険や一部の定期保険では、返戻金の額が契約期間中にピークを迎えた後に次第に減少し、最終的にはゼロになることも考えられます。
したがって生命保険の契約を持っている場合、将来的な解約のタイミングやその時の返戻金の額を十分に理解して適切に計画しておくことが大切でしょう。
事業承継で保険を活用する際の注意点
事業承継で保険を活用する際に、とくに注意したほうがいい点をいくつか解説します。この内容を確認して、賢くスムーズな事業承継に備えましょう。
将来的なキャッシュフローの把握
保険に加入すると継続的な保険料の支払いが必要になり、これが企業のキャッシュフローに影響を与えることがあるのです。
実際に保険料の支出が経営資金を圧迫する場合も少なくありません。
また資金不足から契約を解約すると、期待した解約返戻金よりも少ない金額を受け取ることになるかもしれません。
だからこそ事前にしっかりと将来のキャッシュフローを見越して、バランスの取れた保険契約を心がけることが大切でしょう。
保険解約のタイミング
保険の契約や解約には税務上の影響が伴います。保険金や解約返戻金は利益として計上される可能性があるため、想定外の税金がかかるリスクも少なくありません。
退職金の支払いや他の費用との相殺がうまくいかない場合は税金の負担が増えることもあるので、このようなリスクを避けるために計画的に保険の解約を行うことが重要です。
保険を活用すべきかの検討
事業承継に際して、保険が最善の手段であるとは限りません。
例えば事業承継税制という制度を利用することで、贈与税や相続税の納税を一時猶予することができます。
また過去の税務取扱いの改定により、節税効果を前面に打ち出した保険商品の販売は制限されています。
そのため節税を強調する商品の勧誘には警戒が必要で、事業承継に関する税金や保険の活用については、専門家としっかり相談して最適な方針を定めることが推奨されるでしょう。
まとめ
これまで事業承継と保険の関係や事業承継に活用できる法人保険、また事業承継で保険を活用するメリット・デメリット、活用の際の注意点について解説してきました。
事業承継で保険を活用する際は、保険料の支払いがキャッシュフローを圧迫しないようにしたり想定外の出費に備えたり、節税のために知識を蓄えることも大事です。
ただすべてを独力、自社だけで対応するには限界がありますし時間単価で考えても効率が悪いので、早期のタイミングで各専門家の意見を取り入れて準備するようにしましょう。