M&Aで資金調達する方法|メリット、デメリットやLBO、MBOについても詳しく解説

M&Aで資金調達する方法

M&Aを実行するためには、資金調達が非常に重要です。資金調達ができなければ、いくらメリットのあるM&Aでも実行できません。

しかし、M&Aを実行するための資金調達方法については、たくさんの種類があり、どの方法が良いかやメリットデメリットについて知りたい方も多いでしょう。

そこで今回はM&Aで資金調達する方法について説明をします。

それぞれの資金調達方法のメリットやデメリット、LBOやMBOについても説明しますので参考にしてください。

目次

M&Aにおける資金調達の種類

まずはM&Aにおける資金調達の目的と種類について紹介をします。

  • 資金調達の目的
  • 直接金融(増資)
  • 間接金融(融資)
  • 資産の現金化
  • 補助金・助成金の活用

M&Aにおける資金調達の目的と種類についてわかりやすく説明をしますので、参考にしてください。

直接金融(増資)

直接金融は、公募増資や株主割当増資など株式を発行する方法や社債を発行する方法になります。

銀行などを盗撮承継市場から直接資金を調達する方法です。

間接金融(融資)

間接金融は、銀行などから融資を受けて、資金を調達する方法になります。

資産の現金化

資産を現金化して資金調達する方法もあります。例えば、工場であれば機械などを売却し、資金を調達するのです。

在庫の整理もなり、有効な方法の1つといわれています。

補助金・助成金の活用

国は積極的にM&Aを推進しているため、M&Aの事故の際に補助金や助成金がたくさんあります。

1年を通して補助金や助成金の募集がありますので、中小企業庁や経済産業省のホームページを確認するようにしましょう。

直接金融による資金調達方法とそのメリット・デメリット

直接金融による主な資金調達方法は3つです。

  • 公募増資
  • 株主割当増資
  • 第三者割当増資

それぞれの資金調達方法のメリットやデメリットについてわかりやすく説明をします。

公募増資

公募増資とは、不特定多数の人たちから増資を募る資金調達方法です。多くの人たちに資金調達を募れるのが公募増資のメリットになります。

一方、不特定多数の人たちが対象になるため、敵対的な株主が誕生してしまうデメリットもあるでしょう。

株主割当増資

株主割当、増資は、既存の株主に持ち株に応じて新株発行して資金を調達する方法です。

既存株主の権利が希薄化しないのが大きなメリットになります。

ただし、既存株主は株主割当増資に応じなければならない義務は無いので、うまく資金調達ができない可能性があるのはデメリットでしょう。

第三者割当増資

第三者割当増資とは、特定の第三者に新株を割り当て資金調達する方法です。

メリットは自分で決めた相手に進学を割り当てるため、安定的な経営が期待できます。

一方、既存株主の価値が希薄化するため、株主が離れてしまう可能性があることです

間接金融(融資)による資金調達方法とそのメリット・デメリット

間接金融による資金調達方法は主に3つあります。

  • 金融機関からの借り入れ
  • LBO(レバレッジド・バイアウト)
  • MBO(マネジメント・バイアウト)

それぞれの方法の概要やメリットデメリットについてわかりやすく説明をします。

金融機関からの借り入れ

金融機関からの借り入れは、最もポピュラーな間接金融になるでしょう。

メリットは、持ち株比率を希薄化させずに、資金調達ができることです。

一方、デメリットは、金利がかかり、返済総額が大きくなってしまうことでしょう。

LBO(レバレッジド・バイアウト)

LBOとは、売り手企業の資産を使って資金調達する方法です。

銀行融資などの場合は、資金を調達する側の財務状況などが重要になりますが、LBOの場合は、自社に力がなくても、売り手企業に力があれば、資金調達できる方法になります。

メリットは、繰り返しになりますが、自社に力がなくても資金調達できることです。

一方、デメリットは、金利が発生し、返済総額が大きくなってしまうことです。

MBO(マネジメント・バイアウト)

MBOとは、経営陣や従業員が自社の株式を買い取る資金調達方法です。

メリットは、経営陣などが株式を買い取るため、経営が安定することになります。

一方、経営陣等が株式を買い取るため、変革が起こりづらくなってしまうのがデメリットになるでしょう。

M&Aに向けた資金調達の成功事例とポイント

M&Aに向けた資金調達の成功事例とそのポイントについて詳しく説明をします。

事例紹介

収益の複線化のため、全く違う事業を始める際、M&Aを行い、収益の複線化を図った事例が中小企業には多くあります。

結果として、自社で1から立ち上げるよりもはるかに効率的に新しい事業を始めることができ、収益化を早く実現できるメリットがあるので、多くの企業にとって興味があるのではないでしょうか。

資金調達のポイント

資金調達には、様々な方法がありますが、既存株主に影響を与えない、銀行融資を採用したいと考える企業も多いでしょう。

もちろん、直接金融によって増資を行い、資金調達をしても問題はありませんが、既存株主への影響については、しっかり検証する必要があります。

銀行との交渉術

銀行との交渉がポイントになりますが、メインバンクにまず相談をするのが良いでしょう。

そして、今回のM&Aが成功すれば、どのような効果があり、どのくらいの収益を上げられるのか明確にする必要があります。

もしメインバンクで取り上げてくれない場合は、サブバンクに相談をしましょう。

専門家の活用

M&Aにおける資金調達をする際は、専門家の活用が良いでしょう。

なぜなら、ほとんどの企業では、M&Aの実務に対応できる人材がいないからです。

M&Aを成功させるために、資金調達は非常に重要なポイントになります。

様々なノウハウのある専門家を活用し、スムーズに資金調達するようにしましょう。

日本政策金融公庫を利用したM&A融資の方法と条件

M&Aを行う際、多くの企業が利用するであろう日本政策金融公庫を利用したM&A融資の方法と条件について説明をします。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とは、国の金融機関であり、新たに事業を始める人への融資や、中小企業の融資に力を入れている金融機関になります。

M&A融資の申し込み方法

M&A融資の申し込みについては、まずは、最寄りの日本政策金融公庫に予約を取り担当者と相談するようにしましょう。その際は具体的な話ができるよう事業計画についてしっかりねじ込んでおくようにしてください。

融資条件と審査基準

日本政策金融公庫の融資条件や審査基準は、民間の銀行とは異なり、新たに事業を始める人たちや中小企業のM&Aを狙う人にとって比較的利用しやすい基準になります。

もちろん、財務諸表なども重視されますが、将来性を重視した審査を行ってくれるため、事業計画が重視される傾向にあるようです。

資金調達に関する用語の解説

M&Aにおける資金調達では、これまで解説してきた通り、様々な手法が用いられます。ここでは、デットファイナンス(負債)、エクイティファイナンス(出資)、アセットファイナンス(資産売却)の3つの主要な資金調達方法について、詳しく解説します。

デットファイナンス(負債)

デットファイナンスは、借入金や社債の発行など、負債性資金を調達する方法です。M&Aにおいては、金融機関からの借入が一般的です。銀行や投資ファンドなどから買収資金を借り入れ、買収対象企業の資産や将来のキャッシュフローを担保とすることが多いでしょう。

社債の発行により、広く投資家から資金を調達する方法もあります。社債は利息を支払う必要がありますが、返済期間が長いため、一時的な資金負担を軽減できるメリットがあります。

また、メザニンファイナンスと呼ばれる、通常の借入金と株式の中間的な性格を持つ資金調達方法もあります。メザニン債と呼ばれる、劣後ローンや優先株式などが該当します。

デットファイナンスは、自己資金が不足する場合に有効な手段ですが、借入金の返済義務が発生するため、買収後の財務状況を圧迫する可能性があることに留意が必要です。

エクイティファイナンス(出資)

エクイティファイナンスは、株式の発行などにより、出資者から資金を調達する方法です。M&Aにおいては、第三者割当増資や公募増資により、新株を発行して資金を調達することが一般的でしょう。株式を引き受けた投資家は、企業の株主となります。

また、議決権の有無や配当の優先性などが異なる種類株式を発行することで、多様な投資家のニーズに対応することも可能です。

ベンチャーキャピタルから出資を受けることで、資金調達と同時に経営支援を得られるのもエクイティファイナンスの特徴です。

エクイティファイナンスは、返済義務がないため、財務状況への影響が少ないというメリットがあります。一方で、株式の発行により、既存株主の持分が希薄化するデメリットがあることにも注意が必要です。

アセットファイナンス(資産売却)

アセットファイナンスは、保有する資産を売却することで資金を調達する方法です。M&Aにおいては、自社が保有する不動産を売却し、得られた資金を買収資金に充当することが考えられます。不動産の売却と同時に、売却先から不動産を賃借することで、事業の継続性を確保することも可能でしょう。

また、保有する設備を売却し、同時にその設備を買い主からリースバックするセール・アンド・リースバックという方法もあります。これにより、資金調達と設備の継続利用を両立させることができます。

売掛金などの債権を証券化し、投資家に販売することで資金を調達する債権の流動化も、アセットファイナンスの一つです。債権の流動化により、バランスシートの圧縮と資金調達を同時に実現できるメリットがあります。

アセットファイナンスは、既存の資産を有効活用できるメリットがありますが、売却した資産を利用できなくなるデメリットがあることにも留意が必要です。

M&Aで資金調達を行う前の検討事項

M&Aを実行する際、資金調達は重要な課題の一つです。

しかし、資金調達を行う前に、十分な検討と準備が必要です。ここでは、M&Aで資金調達を行う前に検討すべき事項について解説します。

資金調達の目的と金額の明確化

まず、資金調達の目的と必要な金額を明確にすることが重要です。

M&Aの目的は、事業拡大、シナジー効果の創出、競争力の強化など様々ですが、その目的に合わせて、必要な資金規模を算定する必要があります。

買収対象企業の企業価値評価を行い、買収価格を決定することが第一歩です。

加えて、買収後の事業計画を策定し、必要な運転資金や設備投資資金なども考慮に入れる必要があります。

資金調達の目的と金額を明確にすることで、適切な資金調達方法の選択につながります。

自社の財務状況の把握

資金調達を行う前に、自社の財務状況を正確に把握することが重要です。具体的には、以下のような点を確認する必要があります。

  • 現在の現金残高や借入残高
  • キャッシュフローの状況
  • 資産の状況(不動産、設備、債権など)
  • 株主資本の状況

自社の財務状況を把握することで、どの程度の資金調達が可能か、どの資金調達方法が適しているかを判断することができます。

資金調達方法の比較検討

M&Aにおける資金調達方法には、デットファイナンス、エクイティファイナンス、アセットファイナンスなど、様々な選択肢があります。

それぞれの方法には、メリットとデメリットがあるため、自社の状況に合わせて、最適な方法を選択する必要があります。

例えば、自己資本が十分にある企業であれば、エクイティファイナンスを中心に検討することが考えられます。

一方、借入余力がある企業であれば、デットファイナンスを活用することも選択肢の一つでしょう。

資金調達方法を比較検討する際には、調達コスト、調達期間、財務への影響など、様々な観点から総合的に判断することが求められます。

金融機関との関係構築

M&Aにおける資金調達では、金融機関との関係が重要になります。

特に、デットファイナンスを活用する場合、金融機関からの借入が中心となるため、日頃から金融機関との良好な関係を構築しておくことが大切です。

M&Aを検討する段階から、金融機関に相談し、アドバイスを得ることも有効でしょう。

金融機関の目線で、自社のM&A戦略や資金調達計画を検討することで、より現実的な計画を立てることができます。

リスクの洗い出しと対策

M&Aに伴う資金調達には、様々なリスクが存在します。例えば、以下のようなリスクが考えられます。

  • 金利変動リスク:借入金利の上昇により、金利負担が増大するリスク
  • 為替変動リスク:クロスボーダーM&Aにおいて、為替レートの変動により、買収価格や返済額が変動するリスク
  • 買収先企業のリスク:買収先企業の業績悪化や債務超過などにより、買収後の事業計画が狂うリスク

これらのリスクを事前に洗い出し、適切な対策を講じることが重要です

。例えば、金利変動リスクに対しては、固定金利での借入や金利スワップ契約の締結などが対策として考えられます。

M&Aにおける資金調達は、企業の将来を左右する重要な意思決定です。

資金調達を行う前に、上記のような事項を十分に検討し、準備を整えることが求められます。

まとめ

今回はM&Aを実現させるために重要な資金調達方法について説明をしました。この記事のポイントは以下の通りです。

  • M&Aの資金調達方法には、間接金融と直接金融の2種類がある
  • 間接金融と直接金融にはそれぞれメリットやデメリットがあるので、自身に合った方を選ぶ必要がある
  • 日本政策金融公庫は、中小企業のM&Aなどにやさしい金融機関

今回紹介した資金調達方法についてご理解いただき、スムーズにM&Aを実行する際の役に立てば幸いです。

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