【事業承継に失敗?】承継が進まない原因や、対策を徹底解説!
日本国内においては、伝統工芸や産業を下支えする町工場などさまざまなジャンルで後継者不足が深刻な問題となっています。
経営者の高齢化も進行しており、後継者が見つからなければ廃業を余儀なくされる企業も数多く存在しています。
この記事では、なぜ事業の承継ができないといった問題が深刻化しているのかを解説していきます。
実際の失敗例を踏まえ事業承継をうまく行うための対策も解説してまいりますので、是非最後までご覧ください。
事業承継は非常に時間と手間がかかる
事業承継はコストだけでなくさまざまな事前の取り組みや考慮事項が求められるプロセスで、スムーズな承継のためには予め時間をかけて入念に準備を進める必要があります。
中小企業庁の事業承継ガイドラインによると後継者の育成を含めて事業承継の適切な期間は5~10年とされており、焦らず長い目で計画を立てることが不可欠です。
事業承継における準備は、経営の状況や課題を明確にして自社の強みや今後の方向性をしっかりと見据えることから始めましょう。
さらに事業承継における経営改善のアプローチは、後継者に事業を引き継ぎたいと感じさせるためにも大切です。
この過程では、業績の向上や経費の効率化、ブランド価値の強化などがポイントです。
また事業承継計画の策定においては、今後の環境変化や事業の中長期目標を明確にすることで承継後の経営の安定を図れるでしょう。
計画の策定にあたっては、第三者の意見や専門家のアドバイスも活用しましょう。
事業承継が進まない原因
中小企業において経営者の高齢化が進む中、事業承継は大きな課題になりつつあります。事業承継がスムースに進まない原因は何なのか、その原因をいくつかまとめました。
経営者の高齢化
昔の中小企業の常識である親から子への事業の承継が、今では難しくなっています。
時代の変化とともに経営者が年齢を重ねても後継者が見つからず、仕方なく事業を廃業するケースが増えてきました。
失われる雇用やノウハウは経済全体にとって大きな痛手となります。特に団塊世代の経営者の引退が増える中、後継者不足による廃業は深刻な問題となっています。
後継者問題
経営者の中には親族や会社内の人材に事業を引き継いでほしい人も多いですが、その願いが叶うケースは必ずしも多くありません。
例えば、子供が家業を継がなかったり適任な従業員が経営に興味がなかったり社内での意見対立や株式取得のための資金の問題など、さまざまな障壁が存在します。
後継者が見つからないときには、事業のM&Aも選択肢のひとつとして推奨されます。
税負担
事業を引き継ぐことは資産も引き継ぐことになり、税の問題が避けられません。特に株式の相続や贈与が絡むと高額な税金が発生します。
そのため事業承継税制という税制が整備されており、一定の条件を満たせば税負担を軽減できます。
しかしこの税制はまだできて間もないので詳しい税理士が少ないという問題もありますが、事業承継に関する税金の問題は早めに専門家に相談したほうがよいでしょう。
個人補償の引継ぎ
多くの中小企業の経営者が会社の借り入れに対して個人保証をしており、この保証を引き継ぐことは事業承継の大きなハードルとなります。
日本商工会議所や全国銀行協会は、この問題に対応するためのガイドラインを策定していますが、まだ十分に浸透していないのが実情です。
個人補償の問題を解消するためには、専門家のアドバイスやサポートを受けることが重要になるでしょう。
相続問題
親族間の事業承継は相続というデリケートな問題を引き起こす可能性があり、特に親族内での事業承継は、相続に関するトラブルが起きるリスクが高まります。
早めの後継者指名や相続に関する適切な対策が必要になります。節税対策も忘れないように注意しましょう。
社内の引継ぎがうまくいかない
事業承継がスムーズに進まない背景には、経営者のワンマンスタイルが影響しています。
このスタイルは従業員を十分に信用しないので、結果として社内コミュニケーションが滞りがちとなります。
経営者交代の際は従業員にとっての不安を増幅させる要因となるので、情報を透明性を持って早めに共有することが大切でしょう。
新しい経営者がリーダーシップをとる場合は経営理念や方針を明確にし、それを従業員や関係者にしっかりと伝えることで円滑な承継を実現できるでしょう。
事業承継ができないとどうなるのか
事業承継は上手くいかない要因はさまざまありますが、実際に事業承継が失敗した場合は企業にどんな影響が出るのでしょうか。
こちらでは、事業承継が上手くできない場合どうなるかまとめました。
業績の悪化
もし事業承継が上手く進まない場合その影響が最も大きいのが業績の悪化で、事業承継を通じて業績を向上させるという目的が達成できないことも少なくありません。
承継の準備が不十分であると、逆に業績が悪化するリスクも生まれます。そのため事業承継を急ぐのではなく、きちんとした時間をかけて準備することが大切です。
業績の低下は、単なる見切り発車や短期的な視点からの決断に起因することが多いです。
退職者の増加
事業承継の過程で起こる不手際は従業員の退職を引き起こすこともあり、特に経営者の交代や経営方針の急激な変更は従業員の混乱や不安を招きやすいです。
また新しい経営方針に納得がいかない従業員や事業の低迷による給与や福利厚生の削減に直面した従業員は、退職を選択することがあり得るでしょう。
結果的に人財の流出は業績低下の要因となり、事業の生産性を損なう可能性が高まります。
資金繰りの悪化・廃業
事業承継の失敗は資金繰りの難航を引き起こすことがあり、業績不振が続けば金融機関の信用も失われて資金調達が難しくなることもあります。
さらに後継者が事業詳細を正確に伝えられない場合、融資の際の説明不足が問題となることも少なくありません。
これらの資金繰りの問題は最悪の場合廃業へと繋がる恐れがあるので、事業承継の計画性や後継者の選定が非常に重要で適切な承継先の選定が必要不可欠となります。
事業承継で失敗しないためには?
どのような企業でも事業承継が上手くいかない可能性はあります。失敗する要因をなるべく潰していって対策を講じることが重要です。
こちらでは、事業承継で失敗しないためのコツについていくつかまとめました。
後継者候補を見つける
事業承継を検討する際の第一歩は後継者の選定で、その際に候補者が事業を継承する意欲を持っているか確かめることが重要です。
一度選んだ後継者が意欲を持っていなければ、成功への道は厳しくなるでしょうし、その人が会社の発展を真剣に考えているかの確認も必要です。
万が一後継者が事業継承を望んでいなければ、次の候補を探すための時間も考慮に入れておきましょう。早めの行動がスムーズな承継を実現します。
経営権の委譲を宣言する
事業承継の決意をしたら、できるだけ早くその意向を公にすることが大切です。
このアクションにより後継者は経営に対する意識をしっかりと持つようになりますし、従業員たちも将来的な変動に備えることができます。
経営権が移行した後、前の経営者は経営から完全に手を引くことが求められますが、後継者からの要望がある場合は、適切なアドバイスを提供してサポートしてあげましょう。
事業承継計画書を作成する
事業承継に成功するためには、明確な計画書の作成が欠かせません。この計画書には事業のビジョンや将来の目標に関する情報が詳細に記載されるべきです。
また突発の事態に備えて準備しておくことで、社内の混乱を防ぐことができるでしょう。
計画書の作成は経営者と後継者の意見の一致も促進するので、公式なドキュメントの作成が難しい場合でも基本的な計画は持っておくことをおすすめします。
税金対策を行う
事業承継において税金の問題は避けて通れません。承継の方法により、さまざまな税金が発生することを知っておく必要があります。
例えば贈与税や相続税が考えられますし、事前に適切な税金対策を行うことで後継者の経済的な負担を軽減することができます。
適切な対策を講じることで、後継者は納税の問題に困惑することなく新たな経営に専念することができるでしょう。
まとめ
今まで事業承継には手間ヒマがかかることや事業承継が進まない原因、事業承継ができないとどうなるのか、事業承継で失敗しないためのコツについて解説してきました。
事業承継に失敗しないためには、後継者の意思を事前に確認したり経営者は早めに引退宣言をして第一線からは身を引いたり、事業承継の計画書を作っておくことが重要です。
さらに節税や相続税の対策も必要になってくるので、親族間での争いを防ぐためにもなるべく早い段階で専門家に相談をしてアドバイスを受けましょう。