負債コストの基礎知識や求め方、改善方法などを解説!

負債コストという言葉はどこかで聞いたことはあるけれど具体的に何を指すのか、その求め方はと気になっている方も多いのではないでしょうか。

実は正しく理解することで、経営や財務の健全性を向上させるヒントが隠されています。

この記事では負債コストの基礎知識を押さえ、実際の負債コストの求め方を明確に理解する手助けをします。

この記事を読むことであなたのビジネスや資産管理が、よりスマートで効率的になるための情報を得られること間違いありません。

読むだけで知識が豊富になり今後の経営や投資に生かせるアドバイスが満載なので、是非この機会にしっかりと学びましょう。

目次

負債コストとは?

負債コストとは債権者に支払う金利のことで、数式に当てはめれば比較的簡単に算出することができます。

こちらでは、負債コストとは何なのかや負債コストの節税効果について解説します。

資本コスト(WACC)のひとつ

企業が資金を調達する際の借入金や社債の金利のことを負債コストと言います。

企業価値を評価する過程で負債コストは株式などを通じて取得する資本のコスト、すなわち株主資本コストと並んで重要な位置を占めていると言っても過言ではありません。

負債コストと株主資本コストの二つを組み合わせた結果が、加重平均資本コスト(WACC)として知られています。

特にDCF法を使用してキャッシュフローを現在価値に割り戻すときの割引率として、このWACCが一般的に利用されることが多いのです。

また企業が債券やローンを発行する際の価格を理論的に算定する過程でも、この割引率が欠かせません。

負債コストの節税効果

負債を活用する際の大きなメリットとして節税効果が挙げられます。

具体的には企業が債権者に支払う利息は法人税の計算時に控除対象となるため、税金の負担を軽減することができます。

このような特典により負債を通じた資金調達ことデット・ファイナンスは、節税のメリットを通じて企業価値の増大をもたらす可能性があるのでしょう。

そしてこの節税効果の大きさは、企業の所得税の率や負債の総額によって変わってきます。法人税率が高かったり負債残高が多い企業では、その効果も相応に大きくなり得るのです。

負債コストの求め方

負債コストとは銀行など債権者から調達した資本に対して、企業が毎年支払いを約束しているコスト(利息)の割合です。

債権者からの信用力が高い、すなわち返済の実現可能性が高い企業ほど低い水準になるのが大きな特徴です。

こちらでは、負債コストの計算式や計算項目などについてご紹介しましょう。

負債コストの計算式

負債コストを求める際の基本的な計算式は「支払利息の利率×(1−法人実効税率)」です。

この法人実効税率とは、具体的には「法人住民税」や「法人事業税」を指し、一般的には約30%程度を用いることが多いです。

また負債コストが増大すると、企業のキャッシュフローが圧迫されるリスクが高まってしまうでしょう。

このキャッシュフローの問題は企業の返済能力や事業リスクにも影響を及ぼし、その結果企業の負債コストがさらに高まることも考えられます。

高い負債コストは企業が利益を上げるための投資の選択肢を制約する可能性があり、企業の経営を困難にする要因となるので注意が必要でしょう。

負債コストの計算についての解説

負債コストは企業の収益性を示す指標のひとつで、具体的には債権者から調達した資金に対する毎年の支払コスト(利息)の割合を指します。

信用力が高い企業つまり返済の可能性が高い企業は、この指標が低い水準になるでしょう。

計算の仕方は、負債コスト(%) = 支払利息 ÷ 有利子負債 でも求められます。

この計算には財務諸表の中から有利子負債と支払利息のデータが必要で、具体的にはBSから有利子負債、PLから支払利息の情報を抽出します。

負債コストの改善方法

負債コストを下げる方法としては、債権者と借入利率を交渉したり無借金経営を目指すなどの対策があります。こちらでは負債コストの改善方法について、詳細を解説します。

債権者と借入利率を交渉する

負債コストを節約したい場合は債権者との借入利率の交渉はひとつの手段で、特にこの手法は多くの企業が採用しています。

企業が自らの取り組みで、借入利率を低くすることができることも少なくありません。

具体的には、業績向上による連続した黒字化や財務の安定化でキャッシュフローを良くするといったアプローチが挙げられます。

資金の流れを示す資金繰り表の整備や経営の方針を明確に示す経営計画書の提示、正確な会計処理は債権者との信頼関係を築く上で効果的です。

また負債のコストが株主のコストより低いため、適切な負債の増加は経営資源として有効に活用できるでしょう。

無借金企業を目指す

企業として借金を持たない選択も考えられ、ここでいう無借金経営は有利子負債、つまり返済時に利子が発生するような借り入れが存在しない状態を指します。

完全な無借金経営は現実的に難しく、日常的な支出のための支払手形や供給業者への買掛金、さらには給与の未払い分などさまざまな負債が存在します。

しかしこれらは無利子であり経営への影響は限定的なため、真の意味での無借金経営を目指す際には、有利子負債の存在を最小限にすることが重要でしょう。

有利子負債金利の全業種平均・目安

では実際に有利子負債金利はどれくらいなのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。こちらでは有利子負債金利の全業種平均や目安について解説します。

負債コストの平均値

ザイマニ(財務分析マニュアル)によると、2022年度の負債コストについて企業数2,995社を対象に調査を行ったところ、有利子負債金利の平均値は2.3%でした。

業種ごとに見ていくと2022年ベースで非鉄金属は0.8%と最も低く、反対に鉱業は10.9%と高金利になっていました。

該当企業数の多い少ないも多少影響がありますが、同じ金属でも非鉄金属と鉱業で金利差が大きいのは驚きです。

負債コストの中央値

ザイマニ(財務分析マニュアル)によると、2022年度の負債コストについて同じ企業数2,995社を対象に調査をしたところ、有利子負債の中央値は0.8%でした。

業種ごとに見ていくと2022年ベースでは中央値の大きなバラつきはなくて、水産・農林業や食料品、鉄鋼、電気・ガス業などの0.6%〜空運業の1.7%の範囲で推移しています。

空運業だけが中央値を抜きんでているのが大きな特徴になっています。

負債コストでよくある質問

負債コストについてよく聞かれる質問についていくつかピックアップしてみました。こちらを参考にしながら、負債コストがどういったものなのかを再度確認してみてください。

資本コスト(WACC)の計算方法は?

資本コストは略称としてWACCと呼ばれますが、これは企業の資金調達のコストを示す重要な指標となり、具体的な計算方法は以下の式を使います。

WACC=RE×(E/(E+D))+RD(1-t)×(D/(E+D))

ここでREは株式資本コストを、RDは負債コストを示し、Eは企業の株式資本の金額でDは有利子負債の金額です。

tは企業が適用される税率となり、特に中小企業の場合DとEのバランスがとても重要になるでしょう。D/Eの値が小さいほど、利子の負担も軽くなる傾向です。

資本コスト(WACC)の平均はいくら?

WACCの業界別の平均値は一般的に5%から7%の間とされていますが、業界の特性によっては異なる場合があります。

例えば電気やガスなど需要が安定している業界では、WACCが平均よりも低い値を示すことが多いです。

これはその業界の事業リスクが低いため、負債コストも相対的に低いことが影響しているでしょう。

一方鉄鋼や機械などの事業リスクが高い業界ではWACCが平均以上になることもあり、事業の動向やトレンドが急激に変わる業界では負債の増加を慎重に考える傾向があります。

まとめ

負債コストは銀行などからお金を借りる際の利子のことです。債権者にとってみれば企業に課した分だけリターンを要求するものなので、会社側にとってはコストになります。

負債コストと株式資本コストを合わせたものを資本コストといいますが、負債コストだけに着目するのではなく、リスクの高い株式資本コストにも配慮するのが大切になるでしょう。

銀行などの利子だけではなく、負債コストと株式資本コストを合わせた資本コストで考えなければいけません。

このあたりの専門的な知識は自社だけで対応できないので、専門家の意見も聴きながらコスト削減への対策を練っていきましょう。

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