オーガニックグロースとは?M&Aグロースとの違いやメリットデメリットを解説
企業を成長させるためにM&Aを通して外部のリソースを活用するか、それとも社内のリソースにとどめるべきかは重要な経営判断の一つ。
もちろんどちらの選択肢にも長所と短所があるため、自社に見合った方法を取らなければビジネスに支障をきたすだけでなく、事業継続そのものに悪影響を及ぼす恐れもあります。
そこで、この記事では、オーガニックグロースとは何か?やメリットとデメリット、M&Aグロースの違いなどについて解説します。
M&Aを通した成長を検討している方はぜひ記事をお読みください。
オーガニックグロースとは?
オーガニックグロースとは、企業が自社にある経営資源を活用し、事業を自律的に成長させていくことを指します。一方、M&Aや資金調達などで事業を成長させるM&Aグロース、またはノンオーガニックグロースと呼びます。
自分で一から起業し事業を拡大させる場合、活用できるリソースが限られることから、事業を成長させ、軌道に乗せるまでに時間がかかるもの。
もちろん、事業が一定の水準まで成長するまでには、時間を要すること以外にも、資金面での困難などにも取り組まなければなりません。
M&Aグロースとの違い
M&Aグロースは、企業買収や合併を通して事業を拡大させること。
オーガニックグロースと異なり、社外の経営資源を活用できるのが特徴です。
また、M&Aグロースでは増資などを通して株主が経営に関与することになるため、株主の意向を反映した経営を行う必要がでてくることも、オーガニックグロースと異なる点です。
そのため、オーガニックグロースとM&Aグロースでは、主に企業の成長速度や資金不足のリスク、人材確保の難易度、新規事業の立ち上げや事業の撤退など事業運営の柔軟性において次のような違いが生まれます。
オーガニックグロース | M&Aグロース | |
企業の成長速度 | 緩やか | 速い |
資金不足に陥るリスク | 高い | 低い |
人材確保の難易度 | 高い | 低い |
事業運営の柔軟性 | 柔軟 | 意思決定に時間がかかる |
オーガニックグロースとM&Aグロースのどちらを採用するかは、自社の経営方針や経営状況、事業の成長段階などに応じて判断することが重要です。
オーガニックグロースのメリット
オーガニックグロースには次のような利点があります。
- 長期的な視点に立って事業を育むことができる
- 柔軟でスピーディーな事業運営ができる
長期的な視点に立って事業を育むことができる
長期的な視野から事業を行うことができるのが、オーガニックグロースの強みです。
なぜなら、M&Aで事業を拡大させる場合資金調達を伴うため、投資家を意識しながら経営に取り組む必要が出てくるためです。
一方で、オーガニックグロースでは不要な増資や借り入れを行う必要がありません。
そのため、外部からの介入を気にすることなく、一定の収益があげるまでに期間を要する事業や将来性のある事業に自社のリソースを投下することができます。
したがって、オーガニックグロースではある程度の収益が得られるまでに時間がかかる事業にも取り組むことが可能です。
柔軟でスピーディーな事業運営ができる
オーガニックグロースには、事業について柔軟な判断を下すことでスピーディーにビジネスを展開できるという特徴もあります。
その理由は、M&Aグロースは資金調達を伴うため、意思決定に株主の意向を反映させなければならないからです。
そのため、M&Aグロースでは新規事業の立ち上げや撤退といった判断に時間がかかってしまう一方、オーガニックグロースでは株主の意向を汲む必要がなくスピーディーな意思決定が可能です。
事業判断に時間を要すると、他社に遅れをとってしまう事態にも陥りかねません。
その点、オーガニックグロースではスピード感のある事業運営が可能です。
オーガニックグロースのデメリット
オーガニックグロースに伴う以下のデメリットを紹介します。
- 成長のスピードが遅い
- 資金不足に陥りやすい
- 人材の確保が難しい
成長のスピードが遅い
オーガニックグロースのデメリットとして、企業としての成長速度が遅くなってしまうことが挙げられます。
M&Aにより期待できる恩恵に頼らずに事業を行っていかなければならないからです。
M&Aでは、顧客の増加やマーケットの拡大による売上増加といった企業の成長に直接的に寄与する効果以外にも、優秀な人材や、事業運営にかかる経験・ノウハウの獲得、ITシステムの集約などによるコスト削減など様々な便益が見込めます。
もちろん、それらの便益は企業の成長速度を速める追い風となります。
しかしながら、オーガニックグロースではこれらの恩恵にあずかることができません。
このように、オーガニックグロースでは企業の成長に時間がかかることに留意する必要があります。
資金不足に陥りやすい
資金繰りの問題が伴うこともオーガニックグロースの短所です。その理由は、事業に一定のリターンが見込めるようになるのに時間がかかるから。
つまり、オーガニックグロースの場合、事業が安定するまではキャッシュフロー不足により事業が運営できなくなってしまうという懸念に対処し続けなければなりません。
その点、M&Aには事業の安定までに必要な時間や手間を購入するという側面があることから、売上増加までの時間がかからず、資金が不足するリスクが低下します。
上記の通り、オーガニックグロースでは資金繰りの問題に直面せざるを得ません。
人材の確保が難しい
オーガニックグロースの場合、人材の確保に注意する必要があります。
M&Aの場合は短期間で買収先の優秀な人材を獲得できるところを、オーガニックグロースでは自社の経営資源のみを用いて人材を獲得・保持しなければならないためです。
さらに、採用活動に社内のリソースを割かなければならないことで、事業の拡大が妨げられてしまう恐れもあります。
したがって、オーガニックグロースでは人材確保の問題にも取り組まなければならない可能性が高まり、また、これにより企業の成長に支障をきたす恐れがあることに注意しなければなりません。
まとめ
この記事では、自社の経営資源のみを用いて企業を成長させるオーガニックグロースについて、M&Aグロースとの違いやオーガニックグロースのメリット・デメリットといった観点から次の通り紹介しました。
- オーガニックグロースとM&Aグロースのそれぞれに長所と短所があるため、自社の経営方針や状況に応じて採用することが大事。
- オーガニックグロースのメリットは、長期的な視点での企業経営が可能なことや事業運営に関する判断を柔軟に行えることにある。
- オーガニックグロースには、事業が安定するまで時間がかかることや資金繰りの問題がついて回るなどのデメリットがある。
もちろん、事業拡大の資源を社外に求めるのか、それとも社内に限定させるのか判断が難しい場合は、専門家のアドバイスを参考にして判断すると安心です。