ddの手順や注意点、費用相場などを解説!
デューデリジェンス(dd)とはどんな内容でどのような手順を踏むのか、またかかる費用相場はどの程度なのか、よく分からない方が多いのではないでしょうか。
そんなあなたのために、こちらの記事ではデューデリジェンス(dd)の基本からプロの視点での実際の進め方、そして注意点までを詳しく解説します。
費用相場についても触れていますので、予算の検討もスムーズに行えるでしょう。
この記事を読むことで、デューデリジェンス(dd)の知識を深めビジネスの場での判断や交渉がより確かなものとなるでしょう。
デューデリジェンス(dd)とは
M&Aにおけるデューデリジェンス(dd)(以下dd)とは買い手企業が対象の企業の実態を把握するための事前調査で、日本語では買収監査とも呼ばれます。
買い手企業、売り手企業それぞれにとってのデューデリジェンス(dd)について下記にまとめました。
買い手企業にとってのdd
欧米の企業買収や不動産購入の際は、対象となる企業の真の資産状態を明らかにするために外部のプロフェッショナルが調査を行うのが一般的です。
ddは買い手企業の判断材料として使用されるもので、単に売り手企業から提供される情報のみを頼りにするのは客観的・信頼性の観点から問題があります。
実際に売り手企業でさえ気付いていない隠れた財務や法務、労務のリスクが存在することも少なくありません。
買い手企業はこのようなリスクを事前にキャッチするために、専門家を頼りにデューデリジェンスを実施し、リスクを最小化しようとします。
売り手企業にとってのdd
日本の中小企業のM&Aにおいても、ddの実施は珍しくありません。
ddはM&A後のリスク回避のために非常に重要ですが、売り手企業のオーナーや経営者から見れば企業の内部情報を詳しく調査されることは決して快いことではありません。
資料提出や多くの質問への対応は、売り手企業にはストレスの原因となることもあります。
しかしながら調査への協力が不足すれば、買い手企業に不信感を抱かせるリスクがあるでしょう。
M&Aのスムーズな進行には、売り手企業も率先して協力の姿勢を見せることが肝要です。
ddの種類とは
ddは調査対象である売り手企業に応じてさまざまな種類が存在します。こちらではその中のおもなddについてポイントをまとめました。
事業デューデリジェンス
事業デューデリジェンスは、企業や事業の核心部分を評価するための深入りな分析です。
おもにビジネスモデルや市場の動向、競合状況を精査し、投資のメリットやリスクを明確にしています。
主要な資料は決算内容、事業計画、市場の動向、技術資料などが挙げられるでしょう。
財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスは、企業の財務的な健全性やリスクを詳細に調査する手法です。
企業資産の実態やキャッシュフロー、そして潜在的な負債を確認し、隠れた問題がないかを調査します。
主要な資料は決算書、予算・事業計画、役員会資料、契約書などが挙げられるでしょう。
法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスは、企業の法的な側面やリスクを中心に詳しく調査します。
特に許認可の取得状況や訴訟リスクなど、企業運営に影響を及ぼす要因を重点的に見ます。
主要な資料は会社の組織関連や業務契約、許認可情報、そして紛争情報などが挙げられるでしょう。
人事デューデリジェンス
人事デューデリジェンスは、企業の人事部門の特性や問題点を徹底的に調査する手法です。
異なる企業文化や人事制度の差異を詳細に確認し、統合や変革の際の解決策を探求します。
主要な資料は雇用契約、人事規定、年金契約、労使関係の資料などが挙げられるでしょう。
ddの一般的な手順とは?
では実際にddが進められる手順とはどのようになっているのでしょうか。こちらではddの一般的な手順について解説します。
1.資料の開示
資料の開示はデューデリジェンスの初期段階として行われる手順で、事業者は投資家や取得を検討している企業に対して必要な情報を提供します。
開示内容はデューデリジェンスの種別により変わることがありますが、共通して提供される情報として、会社の組織図、拠点情報、株主情報などが考えられます。
また詳細を知るために得意先の情報や在庫情報、総勘定元帳データ、法務面での契約書の内容や株主総会の議事録、保有している許認可なども含まれることが多いでしょう。
2. 開示資料の分析
次に、提供された資料の中からリスクやシナジー効果の可能性を探る分析が行われます。
分析では精緻なチェックが必要で、もし何かを見落とすと後の事業運営に大きな影響が出るかもしれません。
各種リスクの確認や未来のビジョンと合致するかどうかを検証する重要なステップです。
3. ヒアリングの実施
紙の上だけでは伝わらない情報や経営者の考えを深く知るために、対象となる企業の関係者へのヒアリングが行われます。
この段階では企業の理念や経営者の思い、ビジョンなど資料だけでは掴むことのできない深い部分を知ることができます。
これにより事業統合後のリスクや実際の企業文化をより詳しく理解できるでしょう。
4. 専門家による分析
最後に、開示された資料やヒアリングの内容をもとに外部の専門家が更なる深い分析を行います。
この分析により隠れたリスクや問題点を発見することができる場合があり、何か問題が見つかった場合は契約前に適切な対応をとることが求められることが一般的です。
そしてすべての問題がクリアされた上で、正式な契約書の作成に進むことになるでしょう。
ddの注意点
実際にddを行うと決まった場合、いくつか注意して進めなければいけない点があります。こちらでは、ddを行う際の注意点についてまとめました。
重要なポイントを絞る
デューデリジェンスを進める際、その規模や目的に応じて調査範囲を適切に設定することが必要です。
過度に範囲を狭めると後々リスクに直面する可能性が高まり、逆に必要以上に広く調査するとコストや時間の浪費、M&Aの意義を見失う恐れがあります。
特に専門家に頼らず自社だけで調査を進める場合、大切な点を見落とす危険性が増えかねません。M&Aの大きさやコストを考慮し、調査範囲を適切に決定することが重要です。
期間内で優先順位をつける
デューデリジェンスの過程では時間の制約が常に伴うため、調査項目に優先順位を設定して効率的に情報を収集することが大切です。
また買い手企業として急いでM&Aを進めたい気持ちがあっても、調査を受ける売り手企業の協力が不可欠となります。
計画段階でこの点を考慮し、スムーズな調査ができるよう配慮するようにしましょう。
情報管理を徹底する
デューデリジェンスにおいては対象企業の機密情報にアクセスする場面が多く、その情報の取扱いには最大限の注意が必要です。
秘密保持契約を結び、得られた情報を不適切に利用しないよう心がけましょう。
特に売り手企業として情報を提供する側は、提供情報の範囲に関して必要に応じて専門家の助言を求めると安全です。
対象企業の積極的な情報提供
買い手企業からの資料請求や質問には、対象企業は迅速かつ正確に応じることが必要で、オープンに伝える姿勢が信頼を築く上で重要です。
リスクが後から露呈すると取引が破談になるリスクもありますので、はじめから率直に情報提供を行うことが重要となるでしょう。
ddの費用相場
ddの依頼に対して専門家に支払う費用の相場は、調査対象の領域や内容によるので一概に決められておらず、専門家のレベルによっても異なります。
こちらでは、ddを行う際の費用相場についてまとめました。
弁護士に依頼する場合
弁護士への依頼の場合、1日あたりのコンサルティング費用は大体2〜5万円が標準的です。
1日7〜8時間の労働で計算すると、総額は大体15〜40万円程度となり、詳細な監査報告書の作成に数日を要すると合計で50〜100万円を超えるケースもあるでしょう。
契約内容の詳細な確認や法的なリスクの評価が求められるため、費用はそれなりに発生すると心得ておきましょう。
公認会計士や税理士に依頼する場合
公認会計士や税理士に依頼する際も1日あたりの費用は2〜5万円が相場となっており、総費用としては50〜100万円を超えることが一般的です。
財務や税務のddに関する業務内容は通常の財務精査や税務申告とは異なるため、費用がかかるのは容易に想像できるでしょう。
中小企業を中心に行われる一般的なM&Aでは、法務デューデリジェンスと財務・税務デューデリジェンスの2つが基本となり、費用は100〜200万円以上になることもあります。
まとめ
これまでddの特徴や種類、一般的な手順や注意点、費用相場についてポイントを解説してきました。
ddを効果的に行うには、やはり各専門家の協力は必須となるでしょう。
M&A仲介会社へ依頼をすれば、経験と知識豊富な専任の担当者がddの完了時まで伴走をしてくれるので安心です。